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井垣孝之(弁護士/ブロックチェーンベンチャー/新事業創出・経営改革コンサルタント)。個人が、チームを変え、組織を変え、社会を変えるために必要な物事の考え方や、役立つ情報をまとめるブログです。

ハイパフォーマーと平均的パフォーマーを分ける、たった1つの違い

みなさんの周りにも、「この人はハイパフォーマーだなあ」という人、いませんか?

 

弁護士業界というのは化け物揃いでして、いろんな意味でハイパフォーマンスな人(「いつ寝てるの?」ってくらい労働時間が尋常じゃない・専門分野の知識がハンパない・頭のキレがすごすぎるなど)がゴロゴロしているので、おかげさまで謙虚にならざるを得ないという環境なのが、1つありがたいことだなと思っています。

 

少し話は逸れますが、先月から、東京で月1回、「マーケット開拓実践会」というイベントをこっそりと始めています。これは、1業種1人・マーケットの新規開拓の仕事をされている方限定で、いろんな分野のマーケット開拓のノウハウを共有するという企画です。

 

昨日、第2回を開催し、今回はSIerで1人で売上1億円以上を叩き出し続ける発表者が大変気合の入った、なおかつ非常に実践的な発表をしてくださったので大変盛り上がったのですが、その中でハイパフォーマーと平均的な人の違いについて言語化しておきたいと思ったので、今日はそれについて書きます。

 

営業がうまい人と下手な人の違い

 

昨日のイベントの発表者のスライドの中で、「そのとおりだな」と思ったものがあったので、一部引用します。以下のスライドは、営業マンが面談に行くときに、営業がうまい人と下手な人の違いを表したものです。

 

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私は弁護士業以外にもいろんな業種の法人営業をやっており、法人営業を受ける側でもあるので、このスライドの内容はよくわかります。

 

「営業が下手だな」という人は、とりあえず用意したパワポの最初から最後までを順番に説明します。聞いている側は、「これいつ終わるのかな」「何しに来たんだろ」と思っています。パワポの説明が終わると、営業マンは「どうでしたか?興味はありますか?」と聞きますが、聞いている側は「いや、もういいよ」という状態です。

 

営業が上手い人は、パワポは用意しますが、少なくともいきなりその説明をするということは絶対にしません。見込み顧客から(事前に)ヒアリングして現状の課題とゴールを把握し、その説明に必要な限度でパワポを使用します。明確に打ち合わせのゴールを設定し、場合によってはパワポはまったく使わず、その場でフレキシブルに見込み顧客の課題解決に向けて話を組み立てていきます(私はこのスタイルを「ファシリテーション営業」と呼び、研修講師をやったこともあります)。

 

このように、営業スタイル1つ取っても、パフォーマンスを出せる人とそうでない人はやり方がまったく違うのです。

 

ハイパフォーマーと平均的パフォーマーは何が違う?

 

営業マンの例では一体何が違うのかというと、一言でいえば、問題把握力です。私は、問題把握力という言葉を以下のように理解しています。

 

問題とは、理想と現実の間にギャップが生じている状態です。そして、ギャップがあることを認識するには、現状を正確に理解し、理想的な姿(=ゴール)がどうなのかを明確に思い描ける必要があります。

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したがって、問題把握力とは、①現状はどうなっているのか、②理想的にはどうあるべきなのか、③そのギャップがなぜ生じているのかという3つのポイントを把握すること、といえます。

 

ちなみに、私は問題を把握した後、現状と理想のギャップを実際に埋めるための活動を「問題解決力」と呼んでいます。

 

ハイパフォーマーと平均的パフォーマーは、この問題把握力が決定的に異なります。上述の営業マンの例でいうと、営業の仕事はお客様のお困りごとを解決することですので、まずは目の前のお客様がどう困っているのか、すなわち現状がどうで、理想的にはどうあるべきなのかを把握することから始めなければなりません。だから、花形営業マンは必ずそこから入ります。

 

他方、用意したパワポの説明から始める普通の営業マンは、一切問題把握をしないので、何を提案したところで絶対に刺さらないわけです。これが大きな違いです。

 

ハイパフォーマーは、現状の把握とゴールの解像度が非常に高い

 

私は今、元マッキンゼーで14年パートナーをされていた赤羽雄二さんと一緒に経営コンサルティングをしていますが、彼もやはり、現状とゴールの把握力が非常に高いです。

 

たとえば、彼がある人物の課題を把握するときにはいろんな角度から自ら質問して確認し、周りの人にも徹底的にヒアリングして、多面的に現状を理解しようとします。そして、彼のこれまでの30年にわたる経営コンサルティングの経験から、どうあるべきかという理想像が非常に明確に頭の中に入っているので、何をどうすれば最短・最速でゴールにたどり着けるかをクライアントに示すことができるのです。

 

圧倒的なバリューの源は、現状と理想の解像度の高さです。問題把握力は仕事における価値の大半を占めているので、私はこの部分を日々磨いているところです。

 

問題把握力に特化した書籍はほぼないのですが、元マッキンゼーであり、現在YahooでCSOをされておられる安宅和人さんの「イシューからはじめよ」は非常に参考になるので、ぜひご一読ください。

 

安宅和人英治出版 (2010/11/24)
目次
はじめに 優れた知的生産に共通すること
■序章 この本の考え方―脱「犬の道」
■第1章 イシュードリブン―「解く」前に「見極める」
■第2章 仮説ドリブン(1)―イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる
■第3章 仮説ドリブン(2)―ストーリーを絵コンテにする
■第4章 アウトプットドリブン―実際の分析を進める
■第5章 メッセージドリブン―「伝えるもの」をまとめる
おわりに 「毎日の小さな成功」からはじめよう

 

マーケット開拓実践会のお誘い

 

冒頭でご紹介した「マーケット開拓実践会」にご興味がある方で、普段マーケットの新規開拓の仕事をされておられる方(営業・営業企画・経営企画など)は、ぜひ井垣までご連絡ください。連絡方法は、プロフィール欄下部にあるSNS・コンタクトフォームいずれでも結構です。

 

イベントの基本的な構成は、私が20分程度で営業ノウハウに関する書籍のエッセンスを紹介し、参加者の誰かに30分程度でノウハウを共有いただいて、その後軽食を食べながらフリーディスカッションする、というスタイルです。

 

営業ノウハウを話す都合上、競合がいるとやりにくいと思いますので、1業種1人(社)に限定しています。現在は経営コンサル・SIerCRM・生命保険の方がいます。ご応募いただいた場合、これまでの仕事内容をお伺いし、我々が貢献できないかも、と思った場合はお断りする場合がございますので、あらかじめご了承ください。

 

新しいマーケットを開拓し、もっと世界をおもしろくしていきましょう!