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井垣孝之(弁護士/ブロックチェーンベンチャー/新事業創出・経営改革コンサルタント)。個人が、チームを変え、組織を変え、社会を変えるために必要な物事の考え方や、役立つ情報をまとめるブログです。

上を目指すために必ず知っておくべき、4つの問題解決のレベル【第6回】

30代以降のキャリアを考える企画、第6回です。

 

知らないと損する!30代以降のキャリアのフレームワーク【第1回】 - igaki.work

30代以降のキャリアの大きな方向性の決めるワーク【第2回】 - igaki.work

生産性を圧倒的に上げる、フィールドと仕事の選び方【第3回】 - igaki.work

仕事のコントロール領域の拡大が、キャリアを決める。【第4回】 - igaki.work

効率よくキャリアアップするための社内業務戦略の立て方【第5回】 - igaki.work

 

第1回から第3回までは大きな方向性とフィールドの選択の仕方、第4回以降は会社・組織の中で、らせん状に自分のキャリアを上げていくために具体的にどのような戦略を取るべきかを書いています。

 

 第5回以降は、問題解決のフレームワークを踏まえて社内でどのように行動すべきかという話でしたが、第6回は、問題解決のレベル感についてお話します。

 

なぜ問題解決のレベル感を把握することが重要か? 

 

収入を上げるには、昇進するのが手っ取り早い方法ということは言わずもがなです。

では、どうやったら早く昇進できるでしょうか。昇進を決める側の視点で考えてみましょう。

 

昇進を決める側(役員や人事部)からすると、昇進させるか否かの重要な要素は、昇進後のポジションで必要とされる問題把握・解決力があるか、です。

具体的には、経営方針を具体化して業績を上げるとか、経営レベルの話を理解して実行できるかといった視点で評価します。

 

その中で特に重要なのが、「経営レベルの話を理解できるか」という点です。一般的に、営業成績などがいい人が昇進しがちではありますが、いくら成績が良くても経営レベルの話が理解できない人が昇進することはまずありません。

なぜなら、昇進させて役員や部長レベルと直接話す立場になる場合に、経営レベルの話が理解できない人を役員や部長が部下にすることはあり得ないからです。

 

以上の話は、企業相手に仕事をする場合も非常に重要です。たとえば弁護士やコンサルタントは、役員や部長などのマネジメントクラスと話をすることが多いですが、そのときに提案する問題解決のレベルや話のレベル感が合わないと、確実に相手にしてもらえなくなります。

 

では、どんなレベルがあるのかについて説明していきます。

 

4つの問題解決のレベル

 

問題解決には、ざっくりと分けて以下の4つがあります。基本的には組織の階層に即していますが、業界という、会社を包含する概念があること、問題解決とマネジメントがリンクしていることが特徴です。

 

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問題解決のレベル

以上の分類の意味は、簡単に説明すると次のとおりです。

 

レベル1(担当者)

 

マネージャー(レベル2)から振られた仕事をひたすらこなす担当者レベルです。振られた仕事を確実に遂行することが求められます。

 

このレベルで重要なのは、きちんと自分のタスクを指定された期限までに確実にやり遂げる(=レベル1の問題解決)というセルフマネジメント(=レベル1のマネジメント)ができることです。

 

大企業に務める人でも、意外と「言われたことをきっちりやり遂げる」ということができていない人はいます。なお、「言われてたけどうっかり忘れてた」も「できていない」に含みます。

 

レベル2(チーム)

 

レベル2は、レベル1の人たちを束ねる立場です。肩書でいうと課長やリーダークラスがこれに相当します。

このレベルは、レベル3の経営層から落ちてきた業績目標を達成するため(=レベル2の問題解決)、レベル1の人たちを教育し、活用する(=レベル2のマネジメント)ことがメインの仕事になります。

 

いわゆるマネージャーと呼ばれるレベルの仕事ですが、これができている人はかなり少ない印象です。そもそも業績目標を達成できていないとか、自分で手を動かしすぎて全く部下の教育ができていないとか、パワハラまがいのことをしているといったことはよくある話ではないでしょうか。

 

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レベル3(経営)

 

レベル3は、レベル2の人たちを束ねて組織の経営をする立場です。肩書でいうと、社長や部長クラスがこれに相当します。

 

このレベルの仕事は、レベル1とレベル2とは根本的に異なります。組織の方向性を決め、事業の柱を作って(=レベル3の問題解決)、それを実現するための経営資源(ヒト・モノ・カネ)を調達し、方向性を実現する組織を作ること(=レベル3のマネジメント)が仕事になります。

 

いわゆる経営者の仕事というものですが、これができている経営者は、社長と呼ばれている人でもあまりいません。社長がいつまでもレベル1やレベル2の仕事をしている会社はたくさんあります。

 

レベル4(業界)

 

レベル4は、自分の組織が所属する業界の課題を解決するレベルです。レベル4の仕事は、業界が抱える課題を解決するため(=レベル4の問題解決)、同じ業界に所属する会社を束ねたり、関係する法律の規制緩和のロビイングをしたり、今までなかった新たなマーケットを創り出したりすること(=レベル4のマネジメント)です。

 

レベル4の仕事ができる人は、めったにいません。日本で言えば、ソフトバンク孫社長を始めとする著名な経営者くらいでしょうか。

 

さて、このような分類をした上で、実際に会社の中の人に話を聞いたり、会社相手の仕事をしていて気づいたことがいくつかあります。

 

①肩書と問題解決のレベルが一致するとは限らない

 

レベル1~3の説明で、それぞれのレベルの肩書を例として出しましたが、実際にしている仕事や能力のレベルが、肩書と一致しているとは限りません。

 

マネージャーなのにチームマネジメントをしていないことはよくありますし、社長が経営をしていない会社も結構あります(上場企業も例外ではありません)。

 

この問題は結構深刻で、社長がレベル1やレベル2の仕事をしているということは、そもそもレベル1~3の仕事の区別すらついていないため、組織全体としてマネジメントが機能しません。

これにより、レベル2のマネージャーがすべき仕事をしていなくても、社長がそのことに気づかないので、いつまで経ってもマネジメントのレベルが上がらず、中計も達成できず、それらを何とかするために意味のない人事や施策でテコ入れしたつもりになるという問題がよく起きます。

 

レベル1~4のレベルを区別した上で、各レベルごとに肩書と役割を整理することは、当たり前のようですが結構できていないので、まずはレベル別の役割を改めて認識することは大切だと思います。

 

②レベル1ができない人は、レベル2には上がれない(レベル2→レベル3も同様)

 

レベル1は、マネージャー(レベル2)の言っていることを理解し、タスクを確実にこなすということで成果を出すことが求められます。

ポイントは、ただ言われたことをやるのではなく、なぜマネージャーがそのようなことを指示しているのかという目的を把握することです。

 

この目的が把握できない(しようとしない)人は、仮にマネージャーになったとしても、マネージャーレベルで要求される内容を自ら理解することは難しいと評価されるため、マネージャーに昇進することはまずないでしょう。

 

他方で、前述のとおり、マネージャーの肩書があるからといってレベル2の仕事ができるとは限らないということはよくありますが、その場合はマネージャーに目的を確認しても意味がありません(おそらくそのマネージャーはわかっていないので)。

この場合は、そのひとつ上のレベルの人に、仕事の目的を確認するというアクションが必要になることがあります。ただし、マネージャーのメンツは潰さないことが大切です。

 

このように、レベル1から上のレベルを目指すには、まずは確実に任されたタスクを遂行しつつ、上のレベルの人の目的を常に把握できるようになることが重要です。

 

③レベルが2つ違うと、話が噛み合わなくなる

 

経営層と現場レベルで話が噛み合わないというのはどの会社でもよく聞くことですが、これは問題解決のレベルが2つ以上離れていることが原因です。2つ離れているというのは、レベル1とレベル3、レベル2とレベル4ということです。

 

レベルが2つ異なると、問題解決の対象=マネジメントの目的がまったく違うため、必要とされるスキルもスタンスも全然変わってきます。

そうすると、同じ言葉を使っていても、レベル3の人とレベル1の人では把握する意味がまったく異なる(そもそも何を言っているのか意味不明)ということがよくあります。

 

この現象は、現場レベルの人は「上は現場のことをわかっていない」、経営レベルの人は「現場は経営のことは何もわかってない」と互いにいがみ合って溝を作ることになるため、大変不幸な事態を引き起こします。

そのため、レベル1と3の間を通訳する人が組織にいると、コミュニケーションが円滑になることはよくあります。

 

私は、このレベル3の人の言葉を翻訳する仕事をよくしています。また、会社の人と話しているときにレベルが合わないな、と思ったら、レベルを変えるということもよくあります。

特に上の立場の人は、このレベル感によるコミュニケーションギャップは知っておかれるとよいと思います。

 

 問題解決のレベルとキャリアアップ 

 

ここまで4つの問題解決のレベルについて説明してきましたが、このフレームワークは結構使えます。もともとは私が開催した法人営業の研修の中で生まれたものなので、法人営業に応用するととても面白いのですが、そこはまたいずれ書きたいと思います。

 

キャリアの話に戻すと、問題解決のレベル1~4で年収の幅が決まるので、年収アップのためにはいかにこのレベルを上げられるかがポイントです。

大まかにですが、レベル1は300~600万、レベル2は500~1500万、レベル3は1000万~5000万、レベル4は1億~数十億というイメージです。

 

第1回でご紹介した、可処分所得1500万円を目指すには、レベル2を複数か、レベル3以上の仕事をする必要があります。

 

この話は会社員だけではなく、個人事業主を含め自分で事業をしている人にとっても重要で、年商を上げるためには、問題解決のレベルを上げていく必要があります。売上を上げたいのであれば、最終的にはやはりトップマネジメント相手の仕事ができるようになる必要があるでしょう。

 

今回はやや長文になりましたが、重要なのは問題把握・解決能力と、マネジメントスキルです。そして、問題解決とマネジメントのレベルを上げるには、自分が今できているレベルの1つ上のレベルの問題解決に挑戦し続けるしかありません。

この2つの能力・スキルは非常に汎用性が高く、どんな仕事でも役に立つので、ぜひこの機会に徹底的に鍛える方向で考えてみてください。

 

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知らないと損する!30代以降のキャリアのフレームワーク【第1回】 - igaki.work

30代以降のキャリアの大きな方向性の決めるワーク【第2回】 - igaki.work

生産性を圧倒的に上げる、フィールドと仕事の選び方【第3回】 - igaki.work

仕事のコントロール領域の拡大が、キャリアを決める。【第4回】 - igaki.work

効率よくキャリアアップするための社内業務戦略の立て方【第5回】 - igaki.work