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井垣孝之(弁護士/ブロックチェーンベンチャー/新事業創出・経営改革コンサルタント)。個人が、チームを変え、組織を変え、社会を変えるために必要な物事の考え方や、役立つ情報をまとめるブログです。

アインシュタインに学ぶ、悪循環から脱出するための考え方と4つのステップ

悪循環からいつまで経っても抜け出せない、そんな方は結構多いのではないでしょうか。

 

私たちの身の回りには、たくさんの悪循環があります。痩せたいけどまったく痩せられない、職場の問題がいつまで経っても解決しない、パートナーとの関係性がどんどん悪くなる、自分のメンタルがどんどん落ち込み続ける・・・

 

もちろん、悪循環に巻き込まれてしまっている人は、なんとかその状況を解決しようと試みます。しかし、なかなか解決しないからこその悪循環。むしろ解決しようという試みがさらに事態を悪化させることもありますね。

 

そこで、今回は「悪循環からどうやって脱出するか?」について書いてみたいと思います。

 

そもそも悪循環とは?

 

悪循環とは、悪い結果が発生する構造ができあがってしまっている状態です。いくつかの要素が連鎖して、悪い結果につながるという構造ができているということです。一度この構造ができてしまうと、脱出するのは困難です。

 

なぜなら、悪循環というのは、現状で最も安定している構造だからです。安定して同じことを繰り返すからこそ循環しているわけです。だから、この構造の壊し方を知らずに小手先で現状を変えようとすると、だいたい失敗します。よくある失敗パターンはこんな感じでしょうか。

 

  • 一時しのぎにしかならない解決策を試みる
  • 他人に変わるように要求する
  • 何も変わらない現状に憤って諦める

 

このようなパターンにはまらず、悪循環を断ち切るには、適切な考え方を持って正しいステップを踏む必要があります。

 

アインシュタインに学ぶ、悪循環から脱出するための考え方

 

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突然のアインシュタイン。「何だ?」と思われたかもしれませんが、私がなかなか解けない問題にぶち当たったときに必ず思い出す、彼の言葉があります。

 

We cannot solve our problems with the same thinking we used when we created them

我々は、問題を創り出したときと同じ考え方で問題を解くことはできない。

 

この考え方は、悪循環から脱出するために極めて大切です。問題は我々の頭が創り出しているわけですが、それと同じ頭で解決できる問題であれば、そもそも悪循環には陥りません。つまり、悪循環から脱出しようと思うと、今の頭のままでは絶対に解決できないわけです。

 

すなわち、悪循環を断ち切るためには、思考レベルを1つ以上引き上げ、問題の構造を俯瞰し、思い切ってこれまでの発想から外れたアプローチを取らなければならないのです。これまであれこれ手を尽くして解決しようとして失敗した問題なんですから、今のやり方と同じことをやっていても解決するのは難しいのです。

 

そんなときは一度、これまでのアプローチから思いっきり違う方向に振ってやることも必要になることがあります。

 

具体的なやり方は、次のとおりです。

 

悪循環から脱出するための4つのステップ

Step0:悪循環から脱出する覚悟を決める

 

弁護士や経営コンサルタントは、職業柄、よく依頼者を悪循環から脱出させるという仕事をします。私は、そのような仕事をする前や、仕事の途中で、敢えてこんなことを聞くことがあります。

 

「これは、あなた自身の問題です。私の問題ではありません。あなたはこの問題を自分で解決しようという覚悟はありますか?」

 

依頼者に対してなんてことを、と思われるかもしれませんが、悪循環から脱出させるのはとても大変です。それなのに、依頼者が自分の問題として考えず、私に解決してもらおうと思っていては、絶対に脱出できません。悪循環から脱出したいのであれば、「悪循環から脱するためにはなんでもやる!」という覚悟を決めなければならないのです。

 

悪循環に文句を言っているだけの人、問題を人のせいにしている人を見かけることがあります。パートナーが悪い、上司が悪い、さらには社会が悪い、そんなことを言っている人たちです。

 

そんな人が間違ってこの記事を読んでいたら、以下の言葉を読んだ後、直ちにブラウザを閉じてください。

 

世の中に不満があるなら自分を変えろ。それが嫌なら耳と目を閉じ、口をつぐんで孤独に暮らせ。それも嫌なら…

攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX』

 

問題を人のせいにするということは、自分は変わる気がないし、現状を変える気もないということです。それでは何も変わりません。上で述べたとおり、悪循環は、あなたの今のままの考え方では絶対に断ち切れません。悪循環の安定した構造を変えるのは、かなり大変です。変えるには、自分が変わる、自分が変えるという覚悟がいります。

 

今はまだ、悪循環から脱出するために腹をくくる勇気がなくても、腹をくくりたいと思っている方は、続きを読んでいただければと思います。

 

Step1:悪循環の構造を把握する

 

悪循環には、循環する構造があります。たとえば、太ってしまう悪循環のよくある構造はこんな感じです。

 

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 仕事が忙しくてストレスが溜まる→暴飲暴食、仕事が忙しくて運動する時間も余裕もないから運動しない→太る→なんとかしなきゃとストレスを感じて、でもなんともできないから自己嫌悪に陥る、でも仕事が忙しいから・・・というループです。

 

まずはこの悪循環の構造を把握しましょう。ポイントは、①構造を構成する要素を全部洗い出して、②それらの要素をつなぐことです。実際には、このような円の構造ではなく、外部要因があったり、内部で別の循環を作ったりしていることがあります。

 

悪循環の絵を描けること、これが悪循環から脱出するための第一歩です。

 

Step2:問題のレベルを変えるために、まずは「心と時間の空白」を作る

 

次に、実際に悪循環から脱出するステップに入っていきます。気の早い人は、もしかしたら「この循環のどこかをつぶせばいいんでしょ?」と思ったかもしれません。

 

それはノーです。いきなり解決しにいってはダメです。具体的に解決しに行くのは、次の次のステップです。

 

「我々は、問題を創り出したときと同じ考え方で問題を解くことはできない。」というアインシュタインの言葉を思い出してください。目の前の問題に囚われたままでは、解決できないのです。

 

解けない問題を解くためには、まずは心と時間の余裕、空白を作る必要があります。具体的には、次のようなことです。

 

・やらないことを決めて時間を作る

・仕事の速度を3倍にして時間を作る

・時間に制約を設ける

 

問題が解けない状況というのは、限られたスペースにいっぱいいっぱいに問題が詰まっている状態ですから、そのままでは何も動かせません。これを動かそうと思ったら、物を一時的に置くためのスペースが必要ですよね?

 

悪循環から脱出するためには、まずは脱出するための心の余裕と、脱出するための時間を用意する必要があるのです。

 

Step3:悪循環から脱出するための「準備」をする

 

心と時間の余裕を作ったら、次は脱出のための準備です。具体的には、次のようなことをやります。

 

  • 悪循環の構造を俯瞰する
  • 悪循環から脱出するために変えなければならないポイントを見つける
  • 悪循環に陥らない新しい循環を考える

 

冒頭の太る悪循環の構造を俯瞰して、どうすれば脱出できるか考えてみましょう。

 

 

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太る原因のうち、最も直接的なものは、食事と運動不足です。したがって、多くの人はダイエットをしようとするわけですが、ほとんどの人がリバウンドします。それはなぜかというと、暴飲暴食と運動不足に原因となっている仕事の忙しさやストレスといった原因を放置しているからです。 また、食事にしても、食生活が根本的に変わらなければ、必ず元に戻ります。

 

 

したがって、太る悪循環から脱出しようと思うと、悪循環を構成するすべての原因に、同時にアプローチしなければならないのです。そして、「何かをやめる」のではなく、「新たな循環を作る」ということを考える必要があります。

 

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ただやめるだけで、悪循環の構造そのものを変えないと、いずれ必ず問題は復活します。問題が復活しないようにするためには、問題の原因を全部置き換え、新たな構造を作る必要があります。

 

ご想像のとおり、これはとても大変です。だからこそ、最初に覚悟を決める必要があると申し上げたわけです。

 

Step4:構造を変化させるためのアクションを実行する

 

悪循環を置き換える新たな循環のイメージができたら、実際にその循環を実現するためのアクションを実行していきます。太る例でいうと、仕事の速度を上げて時間を作り、ストレスの原因を潰して、食事を変え、運動をするという生活を作る必要があります。

 

構造を変化させるときは、スピードがとても重要です。大きな変化を起こす場合は、スピード感を持って一気にやらないと、時間を経つにつれてどんどん元の構造に戻る引力が働き、何も変えられないということになります。飛行機が離陸するためには一定程度のスピードが必要なのと似ています。

 

まとめると、変化させた後の構造のイメージを作ってから、短期間で一気に変え、悪循環の構造を新しい構造に入れ替えるということをやるわけです。

 

私が短期間で痩せ、体重を維持するために何をしたか?

 

昨日、私が痩せてそれを維持している方法についての記事を書きました。

 

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実は、本記事で書いていることを、私はそのまま実践しています。

 

まず、短期間で筋肉を落とさず減量するために、1日の摂取カロリーを1000キロカロリー以下に抑えてタンパク質はきちんと摂るという食生活に変え、一時的にハードな運動をしました。

 

ただ、こんなきついことは、期間限定とはいえなかなかやりきる自信はないので、「SASUKEに本戦出場する」という、もし実現してしまったら絶対に減量できてないとまずい制約をかけたわけです。仮に出場できなくてもただ痩せるだけなので、損することは何もありません。

なお、これが冒頭で述べた「思いっきり違う方向に振る」「覚悟を決める」というアクションになります。

 

減量をしている間に、私は仕事の内容も変えていきました。弁護士業の単価を上げ、作業量を減らし、仕事のストレスを減らしました。

 

そして、SASUKEが終わった後も、食生活は以前から変えた状態を維持しているので、今も健康に太っていない身体を維持できているわけです。

 

自分の手では悪循環から脱出できない場合は、素直にプロの手を借りる

 

もし、あなたが悪循環の構造を自分で描けないか、構造の中に自分ではどうしようもない要素がある場合は、自分で悪循環から脱出することはできません。

 

そういうときは、素直に外部のプロの力を借りるべきです。弁護士や経営コンサルタントといった職業は、そういったときのために使いましょう。我々は、問題の構造を把握し、悪循環を断ち切る解決策を立案し、実行するプロフェッショナルです。

 

会社に存在するほぼすべての悪循環は、経営陣を含むマネジメント層が必ずその要素に含まれています。したがって、マネジメント層以外ではどうしても解決できないということが多々あります。

 

私は、以前は「経営コンサルタントの力を借りるなんて」と思っていたクチでしたが、自分で実際にコンサルティングをすると、一時的に外部の人間が入ることによってしか断ち切れない悪循環というのはあるんだな、ということを実感するようになりました。

弁護士も同じで、早めに相談することで、早めに悪循環から脱出することが可能になります。

 

悪循環から脱出できずに困っている人は、まずは悪循環から脱出する覚悟を決めること、循環構造の絵を描いてみること、新しい構造を考えて一気に変えること、そして自分で変えられないなら、早めにプロの手を借りることを知っていただければと思います。