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井垣孝之(弁護士/ブロックチェーンベンチャー/新事業創出・経営改革コンサルタント)。個人が、チームを変え、組織を変え、社会を変えるために必要な物事の考え方や、役立つ情報をまとめるブログです。

効率よくキャリアアップするための社内業務戦略の立て方【第5回】

30代以降のキャリアを考える企画、第5回です。

 

知らないと損する!30代以降のキャリアのフレームワーク【第1回】 - igaki.work

30代以降のキャリアの大きな方向性の決めるワーク【第2回】 - igaki.work

生産性を圧倒的に上げる、フィールドと仕事の選び方【第3回】 - igaki.work

仕事のコントロール領域の拡大が、キャリアを決める。【第4回】 - igaki.work

 

今回の連載において、「キャリアを上げる」というのは、今勤めている会社で自らの市場価値を高め、次の転職先から今の会社よりも高い評価(=年収)を得るということを繰り返して、らせん状に自分の市場評価を上げていくことを目指しています。

最初の3回でキャリアを上げるための大きなフレームワークの話をして、4回目からは具体的に実行する方法を書いています。

4回目では、いかに仕事をコントロールできる領域を増やすかが重要と書きました。今回は、効率よく自分のやりたい仕事に集中できるようになるための社内戦略について書きます。

 

そもそも仕事とはなにか?

 

すべての仕事は何のためにあるかというと、問題解決のためです。

会社が何をやっているかというと、会社として解決すべき課題を人・モノ・カネというリソースを使って日々解決していくことです。

たとえばマーケティングは、商品の価値を見込み顧客に届けて顧客になってもらうという課題を解決する仕事ですし、法務は社内外の法律関係と法的リスクを把握し、リスクコントロールするという課題を解決する仕事です。

 

しかし、会社の仕事というのは、必ずしも建設的なものばかりではありません。

特に大企業にお勤めの方はよく目にする光景ですが、会社には「これ本当にいる?」という仕事が山ほどあります。仕事を作るための仕事があったり、仕事ができない人を遊ばせないための仕事なんかもあったりします。

 

前回の記事で書いたとおり、上から言われたことをやっていても、何の成果にもつながらない仕事をやっているだけということがあるため、仕事を選べるようにならないといつまでもキャリアアップはできないのです。

したがって、社内の仕事を選ぶための戦略が極めて重要になります。

 

社内業務戦略の考え方

 

戦略というのは、要は「何をして、何をしないか」という意思決定のことですので、社内業務戦略とは、社内にある業務のうち、自分がやるべき仕事を取捨選択する意思決定のことを指します。

 

この戦略の目標は、自分のキャリアの方向性に合った仕事を選べるポジションを獲得することです。しかし、単に「自分はこの仕事をやりたい!」と言っているだけでは、なかなかできるようになりません(それでも言ってみることは大切です)。

 

 また、前回、仕事のコントロール領域を拡大するために、自分から上司に提案しようということを書きましたが、がむしゃらに提案すればいいというわけではありません。いきなりそのような行動をするのは、多くの場合悪手です。

あなたの上司は、あなたの提案をスルーするか、最悪の場合は「余計なことをしてないで仕事しろ」と言うでしょう。ポイントを外した提案は煙たがられるだけです。

 

ではどうすればいいか。そのために知っておくべきことは、問題解決のフレームワークです。

 

問題解決のフレームワーク

 

問題解決のフレームワークとは、以下のようなものを言います。

 

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問題解決のフレームワーク自体は、一見ありふれていて、よくある話です。私自身、普段弁護士業務やコンサルティング業務で常に使っています。

しかし、実践することはなかなか難しいです。ポイントをいくつか紹介します。

 

まず、問題把握→原因分析→対策立案という順番で検討することが重要です。

何か問題が起きたときに、事実関係をろくに把握せずにいきなり対策を立案しにいくとか、解決策を提案するときに、そもそも何が問題なのかを把握せずにいきなり提案するということをする人がいますが、いずれも問題解決として適切ではありません。

 

次に、問題・原因・対策は、いずれも仮説であるということです。

問題解決のフレームワークで導き出せるのは、常にその状況における最適解であり、正解はなかったり複数あったりします。いきなり答えを見つけに行くのは難しいので、まずは「これが解くべき問題だろう」という仮説を持ち、ヒアリングしたりリサーチしたりして、解決することに意味がある問題だと判断できたら、次のプロセスに進みます。

 

問題把握のプロセスで仮説を立てるときのコツは、「これは本当に解くべき問題か?」という批判的な視点を持っておくことです。仕事でいうと、「この仕事本当にやる必要ある?」ということですね。

この視点を持たないと、問題は無限にあるので、無限に解決する必要のない問題を解決し続けることになります。

 

問題解決のフレームワークについてはもっと書くことがあるのですが、本題に戻ります。

 

効率的な上司への提案の仕方

まずやるべきは、トップの問題意識の把握

問題解決のフレームワークを踏まえてまずやるべきことは、トップマネジメント層(役員・部長クラス)の問題意識を把握することです。

あなたの上司がトップマネジメント層ではなかったとしても、管理職は基本的にはトップマネジメント層の意向を受けて行動するので、まずはトップマネジメント層の問題意識についての仮説を立てましょう。

 

仮説の立て方は、会社の規模によって取れる手段がかなり変わりますが、直接聞けるのであれば直接聞けばいいですし、聞けない場合はトップマネジメント層が発信しているメッセージに着目することで、ある程度の仮説を立てることはできます。

 

管理職を含むマネジメント層は、自分の問題意識に引っかからなければ、基本的に何かをするためのリソースを割く意思決定はしません。

あなたがいきなりマネジメント層に何かを提案して、それがまったく相手にされなかった場合、それはマネジメント層からすると、何とも思ってもいないことに対する解決策を持ち込まれたというように見えたということです。つまり、空回りしているのです。

 

具体的なアクションを起こす前に、まずマネジメント層の問題意識を把握し、それが自分の問題意識の方向性と合っているかを確認することから始めましょう。

 

問題意識の背景を把握し、理解する

 

マネジメント層の問題意識を把握する場合、なぜそのような問題意識を持っているのかも合わせて把握することが重要です。これは、問題解決のフレームワークでいうところの原因分析のステップです。

その原因は、会社の外部環境であったり、単なる社内の人間関係であったりと様々ですが、ここで上司の問題意識を引き出して理解しようとすることがとても重要です。

なぜなら、単に言われた仕事だけをこなしている人ばかりの職場だと、そのように問題意識を聞いてくるような部下はほぼいないからです。

 

以上のプロセスを経ると、あなた自身も「なぜ自分はこのような仕事をやっているのか」「この仕事にどんな意味があるのか」という理解が深まるため、ぜひやってみてください。

 

上司への提案内容を検討する

 

ここまで来て、ようやく上司への提案内容の検討に入ります。提案内容は、以下の3つのポイントを押さえておく必要があります。

 

  1. マネジメント層の問題意識と方向性が合っていること
  2. それらの背景(原因)を解決する提案であること
  3. その提案が通って実行すれば、自分のキャリアアップにつながること

 

このような提案をする理由は、社内で仕事のコントロール領域を拡大し、自分のマーケットバリューを高めることです。しかし、単にそれだけを求めても得られないので、会社の課題解決と同時にやる必要があります。

マーケットバリューを高めるためには、転職時の職務経歴書に何を書けば高く評価されるかを意識しましょう。

 

したがって、具体的な提案は、社内で評価され、なおかつ次の転職先(転職マーケット)からも評価されるという2つのゴールの逆算から考えることが大切です。

 

社内でも転職マーケットでも評価される提案とは?

 

この2つのゴールの具体的内容は、現在の業界・会社の状況によってかなり変わるため、一概には言えません。

ただ、一般的に評価が高くなるのは、数字で成果を説明でき、その数字が大きい場合と、希少価値が高い場合です。

前者は、マネジメント経験であれば、何人の部下がいてどのような成績を上げたかですし、後者は、複数の職種を経験しているといった事情です。

 

したがって、数字を上げやすい(多くのリソースを割いてもらえるもの)とか、複数の職種にまたがるようなものであれば、社内でも転職マーケットでも評価は高くなりやすくなります。

 

以上、効率よくキャリアアップするために、社内で自分がやる業務を選んで提案していくための方法をご紹介しました。

 

次回は、会社における問題解決のレベルについてです。このレベル感を押さえておくと、会社における仕事を俯瞰して、仕事の意味をもっと理解できるようになります。 

 

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知らないと損する!30代以降のキャリアのフレームワーク【第1回】 - igaki.work

30代以降のキャリアの大きな方向性の決めるワーク【第2回】 - igaki.work

生産性を圧倒的に上げる、フィールドと仕事の選び方【第3回】 - igaki.work

仕事のコントロール領域の拡大が、キャリアを決める。【第4回】 - igaki.work

 

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